美しく経年変化する家、
素材感を持った暖かみのある住まいをつくるために、
材料選びを大切にしています。
そして、安全な建物と、安心な室内環境をつくるために、
よい材料を厳選しています。
▼産地直送国産木材|▼品質基準を持つ構造材|▼内装の木材(合法木材)
自然の木
SHIBA建築工房は、いくつかの林産地へ訪問した上で、産地直送で木材を取り寄せて家づくりを行ってきました。上の写真は、奈良県吉野に訪れたときのものです。
産地直送だけでなく、条件に応じて最善の方法を選択いたします。
木材の環境性能
持続可能な素材 Sustainable Materials
木を伐採して使うことは、条件が揃えば地球環境保護に繋がります。
空気中の二酸化炭素を吸収して育つ木
木は大気から吸収した二酸化炭素(CO2)と、地面の土から吸収した水(H2O)を用いて光合成を行い、酸素(O2)を放出します。このとき木の内部では糖類が作られ、そして木の主成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンに変化し、これらにより木の強い細胞壁が作られます。
木は細胞を増やしながら、炭素をたくさんストックしていきます。空気中の二酸化炭素が減れば、地球温暖化の防止につながり、気候変動も少なくなることが期待されます。
木材は環境負荷が少ない
二酸化炭素を吸収して育った木。この木を腐らせたり焼いたりしない限り、二酸化炭素は木に固定されたままになります。
太陽光、水、二酸化炭素で育った木を、建築材料の木材として使うためには、木の乾燥や切断加工などで足ります。しかし鉄など他の材料は、製造するために多くのエネルギーを要します。この点でも木材は環境負荷が少ないことが分かります。
木材は上手に利用すれば環境保護に
開発途上国などで行われた大規模開発などによる広大な森林破壊は、環境破壊に繋がります。
しかし以下の条件が揃えば、木材利用は地球環境保護につながります。
管理された森林
日本や欧州などで行われている人工的に管理可能な森林から生産された木材を使うことで、植林→伐採→木材に加工→植林、という数十年単位の循環が可能となります。
木材を長く使う
炭素を固定した木。これを長く使うことで大気中の二酸化炭素を増やさないことに繋がります。長く使えば使うほど良いといえます。
再利用する
木材として役目を終えた後、他の製品の原料などとして再利用すれば、さらに炭素固定の期間が長くなります。
産地直送・国産木材
価格比較だけでは分からない、木材の質や色などを把握できます。市場には出回らない特殊な木材も入手可能になり、設計の自由度が増します。
松
国産木材の松(赤松)です。
丸太の形を一部残した状態で仕上げられています。木材全体のゆるやかな曲がりを、そのまま用いることで自然さをより感じられる造りになります。
品質基準を持つ構造材
木材は天然の資材のため、強さ・品質が一定ではありません。
このため木の種類(樹種)や、木の寸法(太さなど)だけでは、木の強度を明確にすることができません。
そこで、JAS規格による審査をクリアしたJAS構造材等を用いることで、品質・性能が明確化されます。
具体的には、強度の指標であるヤング係数、乾燥度を示す含水率、寸法精度他が明確になります。
JAS構造用 製材
JAS構造用製材は、丸太から切り出された1本の木材のため、従来から用いられてきた無垢の柱・梁と見た目は同じです。
JAS規格をクリアしたJAS構造用・製材は、寸法、材質、強度性能等の品質、大きさや形状の規定が明確化されております。
JAS構造用 集成材
木材を板状に加工したものを、接着剤で貼り合わせて1つの木材にしたものが集成材です。価格が昔より下がり、材料としての性能が広く認知されたため、多く使われるようになりました。
ひとかたまりの無垢の木材を乾燥することに比較して、板状の小さな木材の乾燥は容易にできます。この乾燥された小さな板(ラミナ)で構成された集成材は、含水率を低く作れることが分かります。
木に情感を強くお持ちの方は集成材によい印象を受けないかもしれません。しかし建築の材料として品質・強度をみると、安心な木材といえます。
JAS構造用集成材は使用する環境条件に応じて複数に分類されます。耐水性および耐火性能を要求される部位では、高い接着性能が要求されるなどです。
丸太梁がある45分準耐火住宅は、45分準耐火の基準を満たすために、一番厳しい接着性能をもつJAS構造用集成材の柱を用い、燃え代設計により耐火性能を満たすことで化粧柱とすることができました。
内装の木材(合法木材)
床、そして壁、天井に用いる木(板)の一部をご紹介します。
無垢の板は、様々なものを入手した上で、良い製品を厳選しています。
価格だけでは分からない、仕上がり具合や加工精度などを確かめています。
合法木材
海外にて違法伐採された木材。違法かつ無秩序に行われた木材伐採により、自然が破壊された諸外国のニュースをご覧になったことがあるでしょうか。安さや、希少性だけで木材を選ぶと、違法伐採された木材を用いることになるかもしれません。
私たちは、環境破壊につながる違法伐採された海外の木材を用いず、正しい手続きで伐採された「合法木材」を用いることで、森林破壊を防ごうと考えています。それにより地球の気候変動を少しでもおさえることに繋がると思っています。
無垢の板
多くの種類がありますが、代表的なものを一覧で以下の写真に納めました。
無垢の板は、湿気の吸放湿による伸縮があるため、これを理解した上で使うことが大切です。
そして1枚1枚、木目の表情が違うのが無垢の板である証明です。
広葉樹
床板などに用いられる広葉樹はたくさんの種類があり、杉などの針葉樹に比べ堅い性質を持ちます。このため、床板の耐久性を求められる、椅子・テーブルなど家具中心の生活に向いています。
ナラ
厚さ15ミリのナラ材の板です。15ミリの厚さを持つ無垢の床板は、表面が多少削れても、中身まで本物のため極端に色が変わったりすることはありません。また、合板フロアが湿気で剥がれるように朽ちるような変化はありません。年月と共に深みを増していきます。
ナラの木は、強度と耐久性を持ち合わせ、あくの強くない表情は、様々なインテリアに合わせやすく、床板の定番とも言える木材です。
ウォルナット Walnut
ウォルナット(クルミの木)は高級木材。表面の滑らかさには少し欠けますが、落ち着いた雰囲気をつくることができ、モダンな住まいに似合います。
ホワイトオーク White Oak
綺麗過ぎず、粗過ぎず、高級感を持ち合わせた、とても良い質感を持つ木です。
年月と共に質感を増すような、重厚さを感じさせる木です。
タモ
ナラやオークに比べて、木目がハッキリとした表情の木です。
メープル Maple
楓(カエデ)の木。淡い色合いと、光の当たり具合で美しく反射する木目が特徴で、他の木にはない色合いと表情を持ち合わせています。
ブラック・チェリー
緻密で滑らかな表面。光の当たり具合で僅かに反射する木目は、日本の桜の木に似ています。
チーク Teak
客船の甲板などに使われてきたチークは、水に強く、耐久性に富んだ高級木材です。
床全体に張ったとき色の濃淡が少し目立ちますが、これも自然の味わいです。
カリン
堅牢なチークよりも少し重いカリンは、硬度が高い木材。高級な床板ですが、赤みが強い色合いから、部屋全体のカラー・コーディネートが少し難しいかもしれません。
Black Wood
カリンよりも更に重い Black Wood は、堅牢で耐久性に富んでいます。店舗などでの靴を履いての歩行も可能。黒ベースの色合いはシックで、室内の木部を濃い色で仕上げ、ホワイトの壁を組み合わせることで、お洒落で落ち着いた空間を作ることが可能です。
針葉樹
建物の骨組みに使われる木材は、ほとんどが桧、杉などの針葉樹。この桧、杉は、日本の針葉樹の代表格です。針葉樹は、ナラなどの広葉樹に比べて表面が軟らかく傷が付きやすいのが難点ですが、その反面、触れると暖かみを感じる木材が多いことが特徴です。
桧・ヒノキ
国産木材の桧の板は、表面が滑らかのため素足で気持ちがいいです。
SHIBA建築工房事務所にも床板に用いてますが、椅子などの傷がやや付きやすいことが難点です。
杉
国産木材の杉の板は、軟らかく、そして素足で暖かさを感じる木です。
しかし杉は傷が付きやすい木材のため、これを理解した上で選択することをお勧めします。
パイン
外国産木材のパインは、軟らかい部類に入りますが、杉ほどは傷が気にならない木です。
パインは、比較的リーズナブルな床板ですが、床板加工済みの製品として輸入されることが多いため、品質と加工精度に大きな違いがあることを経験しています。このため、床板の入手先は限定しています。
青森ヒバ
青森県が産地の青森ヒバ。杉と同様に軟らかく暖かみのある木です。
写真は、室内の壁に用いたものです。青森ヒバは、抗菌作用のあるヒノキチオールを多く含んでいます。青森ヒバ特有の香りを、好まない方がやや多いため、使用を決定する前に実際に臭いを嗅いでみることをお勧めします。
唐松・カラマツ
国産木材の唐松の産地は複数ありますが、写真は長野県産のものです。少し杉に似ていますが、良く木目の表情を見ると見極めることができると思います。
SHIBA建築工房事務所の壁、天井に使用しています。
上高地の梓川の畔にあるカラマツ林で、美しいカラマツの紅葉を見られることでご存じの方もいらっしゃると思います。