空気集熱式ソーラー「そよ風」
1992年頃から空気集熱式ソーラー・ハウスに取り組み、これまで数十棟のソーラーハウスをつくってきました。
できるだけ石油エネルギーを使わず、シンプルな仕組みで室温環境を向上させるシステムです。
弊社事務所建物(1998年建築)も「空気集熱式ソーラー」を採用しています。
特徴
パッシブ・ソーラーとは
機械装置を用いずに太陽熱を暖房などに利用する技術をパッシブ・ソーラーと言います。
その代表的方法として「ダイレクト・ゲイン」があります。これは窓から日射を取り入れ、室内の床などを温めるという、とても単純な太陽熱利用方法です。
パッシブ・ソーラーには蓄熱が不可欠
しかし、パッシブ・ソーラーには蓄熱という要素が不可欠になります。蓄熱しないと、日中は時として暑すぎるくらい室温が上昇し、そして太陽が沈んだ夜には、家が冷え込んでしまいます。
太陽熱の集熱コントロールと、蓄熱を実現
そこで考えられたのが、故・奥村昭雄氏(東京芸術大学名誉教授)による空気集熱式ソーラーでした。
画期的であったのは、太陽熱の集熱コントロールと、蓄熱を実現したことでした。
日射条件の悪い敷地でも、屋根には日が当たることがほとんど。その屋根にあたる日差しで空気を暖め、暖められた空気を床下に送り、床下のコンクリートと床材に蓄熱させることをシステムとして実現させました。
温度制御は、外気温、室温、屋根集熱温度を検知しながら、太陽熱を室内に取り入れるか否かの判断が、設定に応じて自動的に行われます。
床下に送り込む機械は、主に送風機(ファン)と、空気流れ方向を変えるダンパーで構成されており、この機械装置により、夏モード、冬モードの切り替えが可能になりました。
この技術は、機械装置を用いるために、正確にはパッシブ・ソーラーとは言えませんが、太陽の熱をそのまま利用するシンプルな技術として考えれば、パッシブ・ソーラーに近い技術と言えます。
SHIBA建築工房は、1992年頃から、この空気集熱式ソーラーを用いたソーラーハウス(当時はOMソーラー協会に加盟)を、これまでに数十棟つくってきました。その後、ソーラーの機械装置を製造されていた会社が、環境創機(株)として「そよ風」という新たな空気集熱式ソーラー機器を販売するに至り、私共は、OMソーラー協会を退会し、よりシンプルな装置「そよ風」を採用するに至りました。
機械装置を用いないパッシブ手法の難しさ
前述の、窓から日射を取り入れ、室内の床などを温める「ダイレクト・ゲイン」方式で、夏・冬の、季節の切り替えを行うには、夏の日差しを遮るために、屋根の軒の出寸法を設計することはもちろん、スダレなどで室内に入る日射を人為的にコントロールする必要があり、日々の気候変化に対応することは容易くありません。
そして蓄熱体に何を用いるかという問題も残ります。床板など木材では蓄熱容量が小さく、長い時間熱を蓄えることができません。
空気集熱式ソーラーは、これらを補助的に解決する、太陽熱利用技術です。
仕組み
冬の昼:太陽の「熱」を屋根で受け取り、家全体を暖める
- 暖まった空気を床下に導き、床全体を暖めた後、新鮮な空気が室内を循環。
- 床下に熱を蓄えて、1日の室温変動を小さくします。
【システム図は拡大します】
夏の夜:放射冷却を利用して涼を得る
夏の夜、屋根は冷たくなります。これは放射冷却現象によるもの。
冷たくなった屋根を利用して、空気を冷やし、室内に涼しい風を取り込みます。
窓を閉めたまま、涼を得られますので、防犯上も安心。
設計上の条件
太陽熱で床暖房「そよ風」は、以下の条件を目安にしてください。
- 屋根に太陽光があたる敷地条件
- 屋根で集熱するため、切り妻または片流れ屋根が基本
- 屋根面で集熱するため、金属板の屋根である必要があります
- 屋根面を真南に向けて建築できる敷地(真南から約±30度以内)
外部リンク:空気集熱式ソーラー「そよ風」製造・環境創機(株)
太陽熱で床暖房「そよ風」の他に、「エアコン1台で全館空調」もございます。
ライフスタイル、価値観に応じご選択ください。