耐震性能

耐震性能 + 耐力壁Laboratory

許容応力度計算に「耐力壁の実験研究」の成果を活かします

「許容応力度計算」による構造計算
「実物大の耐力壁試験」の実験研究
以上の2つを合わせ、より地震に強い建物設計を目指します

耐震等級とは

必要な耐力壁の長さ(必要壁量)を満たせば建築基準法上はよいのですが、必要壁量ぎりぎりなのか、または必要壁量よりも数十%多いのかで、当然ながら耐震性能は変わります。

そこで耐震性能を示すものとして「耐震等級」があり、3ランクの指標が与えられ、どれくらい耐震性能が高いのかが数値で表されます。

この耐震等級は、建築基準法とは異なる「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいた制度です。(外部リンク:国土交通省 > 住宅の品質確保の促進等に関する法律 )

  • 耐震等級1: 建築基準法(に同じ基準)
    東京では震度5強程度の地震力に対して損傷しない程度で、
    東京では震度6強から震度7程度の地震力に対して倒壊しない程度。
  • 耐震等級2: 建築基準法の各1.25倍の地震力に対して、損傷および倒壊しない程度。
  • 耐震等級3: 建築基準法の各1.5倍の地震力に対して、損傷および倒壊しない程度。

※損傷しない程度とは、大規模な工事が伴う修復を要するほどの著しい損傷が生じないこと。
※倒壊しない程度とは、損傷は受けても、人命が損なわれるような壊れ方をしないこと 。

耐震等級1,2,3と地震力の関係
以上から分かるとおり、等級が上がるにつれ強くなり、耐震等級3が最も地震に強い等級になります。


 

耐震等級3を設計目標に

耐震等級3の設計は、それを実現するために多少の間取りの制限などが生じます。設計打ち合わせ時にご説明いたします。


構造計算を行います

木造2階建て住宅であれば、「耐力壁の必要壁量チェック」と「バランスのよい耐力壁配置チェック」を行うことで足ります。しかし、SHIBA建築工房は、詳細の構造計算を行い、構造安全性の確認を行います。

許容応力度計算で構造チェックを行います

建物の構造計算の方法として、許容応力度計算があります。
これは、地上3階建て以上の木造建築物や、延べ床面積が500m2を超えた場合などに、この許容応力度計算を行うことが求められます。

一般的な木造2階建て住宅であれば、建築基準法上は、許容応力度計算を行う必要はありません。

しかし、この計算を行うことにより、建物各部に加わる力(応力度)を算出して安全であるかという結果が得られ、より詳細な安全性の確認が可能になります。
また、許容応力度計算は、耐力壁や水平構面(床倍率)の強さ(許容せん断耐力)や、接合部の強さ(許容引っ張り応力)も確認されます。

許容応力度計算の予備知識(エンジニア向け)

許容応力度計算は、本来、各部の応力度を算出して許容応力度以下に納まっているかを確認することです。
 (部材の各部に働く力 ≦ 許容応力度)

そして許容応力度計算は、弾性領域に納まるかを検討する一次設計であり、「中規模の地震動(東京では震度5強程度)でほとんど損傷しない」ことの検証です。

したがって、この検証だけでは「大規模の地震動(東京では震度6強から震度7程度) 」での安全性が確認出来ないことになります。
そのために、保有水平耐力計算他を別途行えば「大規模の地震動」での安全性を確認できますが、小規模木造住宅において、より詳細な構造計算を行うことは現実的ではありません。

そこで、各耐力壁の壁倍率である耐力壁の許容せん断耐力を定める際の評価方法において保有水平耐力の考えが盛り込まれているため、前述の許容応力度計算(一次設計)を行うことで、大規模地震での塑性領域の安全性(二次設計:倒壊しない程度)が担保されることになっています。
 



耐力壁 Laboratory

耐力壁実験研究所 Laboratory

耐力壁の実験研究

東京大学にて、「耐力壁の実験研究開発」を行っています。
耐震壁を開発し、実物大の耐力壁に力を加える実験と研究を行っています。

研究内容は全てを公開することは出来ませんが、研究成果を実際の建物に応用し、安全な建物をつくり社会に貢献したいと考え実践しています。

実物大 耐力壁の実験(一例) 耐力壁の研究発表

高い耐力(壁倍率)をもち、変形が進んでも耐力が落ちずに壊れにくい(靱性が高い)耐力壁を、無垢の板で実現するための実験研究を、今も行っております。


現在主流の耐力壁と旧来の耐力壁

筋かい、面材耐力壁(現在主流)

筋かい、面材耐力壁
「筋かい」と呼ばれる木材を、柱と柱の間に斜めに入れる方法と、「面材耐力壁」と呼ばれる合板などを柱面に打ち付ける方法、これらの2種類が現在主流の耐力壁です。

これらの壁の特徴は、変形初期の強さ(剛性)は高いのですが、変形が進むと一定のところで急に壊れる、もしくは強さ(耐力)が徐々に下がる傾向にあります。

神社など伝統的建築の耐力壁(旧来)

神社仏閣など古くから建てられてきた工法として伝統構法があり、耐力壁として「貫」や「落とし込み板壁」などが使われてきました。これらの工法による耐力壁は、変形初期の強さ(剛性)が低い傾向にありますが、壁が大きな変形をしてもなかなか壊れない(耐力が落ちない)という傾向があります。

ここで「変形してもなかなか壊れない」ことは、変形能力が高いことを示しますが、地震エネルギー吸収能力が高いこととは別問題であることに注意が必要です。

なお「落とし込み板壁」の壁倍率は、0.6倍(※1)という耐力壁としては低い値になっています。

注釈(※1):落とし込み板壁の壁倍率0.6は、建築基準法施工令46条および昭56建告1100号に定められています。

以上から分かるとおり、それぞれ相反する特性をもっており、それぞれの長所を得ることができれば理想的な耐力壁といえます。



予備知識

予備知識1 – 耐力壁の配置バランス

建築基準法第20条にて、建物の規模等に応じて、各基準の耐力に適合する必要があることが決められています。

最低限必要な耐力壁の量と、バランスよい壁配置

建築基準法で定められた算定方法により、耐力壁の最低限必要な「必要壁量(壁の総長さ)」が求められます。この計算では、主に地震力と、風圧力の計算が行なわれます。

また、これと同時に耐力壁がバランスよく配置されているか、平面図で見て、端から4分の1の範囲に存在する耐力壁の量のチェックが行われます。

耐力壁4分の1配置バランスチェック

これは、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の後の、2000年に建築基準法が改正され、その際にバランスのよい壁配置チェックも追加されました。これ以前は、耐力壁の量だけを満たせばよく、バランスよく配置することについては明記されていませんでした。

このため、商店建築などによくある、道路に面した部分は窓などの開口部で、耐力壁がほとんど存在しない建物。このような建物で耐力壁の量を満たそうとすれば、耐力壁は道路から離れた奥側に集中して配置されることになります。その結果、道路側部分が極端に弱い建物になり、特に道路が延びる方向に振動する地震が来たとき、建物は回転するようにねじれを起こし、場合によっては倒壊に至ってしまいます。
耐力壁の配置が偏った、偏心した建物における地震時の振動・ねじれ
以上のように、耐力壁の壁量が足りていても、配置バランスが悪いと耐震性が低くなることから、バランスのよい壁配置チェックが行われるようになりました。
(なお、一部の構造計算方法(構造計算ルート)によっては、違う計算方法でチェックを行います。)

予備知識2 – 耐震等級2以上の「その他のメリット」

「耐震等級」は建築基準法ではなく「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以降「品確法」と記述)に基づいたものであることは前述の通りですが、耐震等級2または耐震等級3を達成するためには、建築基準法では求められていないチェックが行われます。

1.床倍率のチェック

床・屋根の固さを「床倍率」としてチェックします。十分な耐力壁の壁量を確保していても、2階の床や屋根面が合板等で固められていないと、地震力や風圧力が加わったときに、上部に加わる水平方向の力を、下部の壁に伝えることができずに壊れてしまうことがあります。
このために、耐力壁等の壁量に応じた床倍率を確保し床面・屋根面を固めます。

床下地に構造用合板を張り、床を固める剛床設計

2.横架材(梁など)のチェック

建物自身の重さや積雪荷重などに対して、横架材(梁等:水平方向の構造材)の強さが十分かをチェックします。
横架材・水平方向の構造材が弱いと、重さに耐えきれず、大きなたわみが発生し構造上の問題となる場合があるため、構造計算または、計算表に基づいて、梁などの太さ・断面寸法を決定します。
以下は、その計算例です。

横架材・梁のたわみ計算、断面算定

以上のチェックが行われるため、耐震等級2以上であれば、床倍率、横架材のチェックが行われた証しとなり、構造安全性が高い建物といえます。

長期優良住宅も同様のチェックが行われます

長期優良住宅の認定を得るためには、耐震等級2以上である必要があります。このため、長期優良住宅であれば、自動的に「床倍率」と「横架材」のチェックが行われていることになります。