MOMO – ミヒャエル・エンデ / 黒姫童話館

我が子が小学生のとき、モモ/ミヒャエル・エンデ著を渡しました。この子は読書家のため間もなく読み終えたようです。この本を購入してから約12年が経過、私も読もうと何度か挑戦しましたが途中で断念。

そしてこの本を渡した子が成人となり、論文資料を得るために黒姫童話館へ私も一緒に行くことになりました。黒姫童話館にはミヒャエル・エンデの多くの資料が収蔵された展示室があるのです。2020年の黒姫童話館への訪問を機会に、今度こそモモを読もうと決意してから1年9ヶ月後の2022年8月、お盆休みに読むことができました。

黒姫童話館

冬季は降雪し閉館となる黒姫童話館。その閉園数日前に行きました。寒さが到来する季節と曇天のためか、なんとも言えない不思議な異空間に佇んでいるような感じを受けたのは、私だけではなく私の子も同じでした。

カシオペイア

モモに登場するカシオペイアがお出迎え。

モモを読了後、展示室に掲示してある「エンデのプロフィール(生涯年表)」を撮影した写真を読み返しました。30代前半に作家として成功し始め、1971年(42歳)にイタリア・ジェンツァーノへ移住。そこで5年来あたためてきた「モモ」を完成させようと決意。構想初期はあまりにも現状批判的ということで採用されなかったという。

児童文学書のモモ(大島かおり訳)の文体は平易ですが、気になった文を読み返すと奥の深さを感じます。
その中の一つ、

マイスター・ホラ:
「それを話すためには、まずおまえのなかでことばが熟さなくてはいけないからだ」

早いことが良いこと、これをほぼ全てのことに結びつけがちな現代。
急ぐ必要はないのだという言葉を、まずは我が子にかけてあげられるかと考えました。

もう一度読み返すと、きっと新たな発見があるのだろうと思い、つい読み急いでしまった部分をじっくり読むと、情景描写の部分にて私自身が入り込んでなかったことに気づきました。
難解な文章を読み返したことは幾度となくありますが、これとは違い、平易な文ですがそう思わせるものがあります。

話は変わりますが、休眠中であった私個人のSNSアカウント全てを数ヶ月前に抹消しました。
SNSはニュース性の話題は伝達速度の点で向いていると思いますが、プライペート時間に食い込むようになると、我が時間軸が変質してしまうように感じます。同調志向、同質化の点もです。第一に私に向いてないようです。

ミヒャエル・エンデ作、 モモ
大島かおり訳、岩波少年文庫(第9刷) 

出典: 黒姫童話館 https://douwakan.com/dowakan